2020 年職場における熱中症による死傷災害の発生状況

少しずつ気温が高くなり、夏が近づきつつあることを感じる毎日になってきています。
警備業において夏といえば熱中症対策です。各警備会社さんも、警備員さんも熱中症対策の準備をそろそろ初めてもいい時期に来ています。
昨年、きちんと熱中症対策をとっていなかった警備会社に所属する警備員さんが、仕事中に熱中症になり亡くなってしまうという出来事がありました。
この件で所属していた厚生労働省HPにて公開された、2020年度分の職場における熱中症の発生状況や、2020年度以前の発生状況をまとめてご紹介しています。
職場での、熱中症予防や啓発活動に役立てていただければと思います。

職場における熱中症による死傷者数の状況

職場での熱中症による、死亡者及び業務上疾病者の数(以下合わせて「死傷者数」という。)は、2020 年は 919 人となりました。
うち死亡者数は、19 人となっています。
記録的な猛暑となった 2018 年と比べ、死傷者数、死亡者数とも減少となってはいるものの、死傷者数については、2019 年を上回ってしまいました。


2015年 2016年 2017年 2018年 2019年 2020年
464
(29)
462
(12)
544
(14)
1,178
(28)
829
(25)
919
(19)

※( )内の数値は、死亡者数であり、死傷者数の内数

業種別発生状況

過去5年間(2016~2020 年)の業種別の熱中症の死傷者数をみると、建設業、次いで製造業で多く発生していました。
また、主な業種について、死傷災害に占める死亡災害の割合を調べてみると、全業種平均の 2.5%に対し、農業5.3%、建設業 4.6%、警備業 3.0%などとなっていて、外で作業している人ほど死亡災害の割合が高くなっています。
2020 年の死亡災害については、製造業において6件と最も多く発生していた。製造業が死亡災害の最多業種となったのは過去5年間で初めてである。死傷者数については、建設業 201 件、製造業 190 件となっており、全体の4割強がこれら2つの業種で発生していた。
警備に関して言えば、他業種に比べればそこまで、熱中症の死傷者数は多くないように見えますが、上でも書いた通り死亡者の割合は他業種より比較的高めになってしまっています。


建設業 清掃業 運送業 警備業 商業 清掃
と畜業
農業 林業 その他 合計
2016年 113
(7)
97
(0)
67
(0)
29
(0)
39
(1)
37
(1)
11
(1)
13
(1)
56
(1)
462
(12)
2017年 141
(8)
114
(0)
85
(0)
37
(2)
41
(0)
32
(1)
19
(2)
7
(0)
68
(1)
544
(14)
2018年 239
(10)
221
(5)
168
(4)
110
(3)
118
(2)
81
(0)
32
(1)
5
(0)
204
(3)
1,178
(28)
2019年 153
(10)
184
(4)
110
(2)
73
(4)
87
(1)
61
(0)
19
(0)
7
(0)
135
(4)
829
(25)
2020年 201
(4)
190
(6)
135
(0)
79
(1)
77
(2)
59
(4)
13
(1)
6
(0)
159
(1)
919
(19)
合計 847
(39)
806
(15)
565
(6)
328
(10)
362
(6)
270
(6)
94
(5)
38
(1)
622
(10)
3,932
(98)

※( )内の数値は、死亡者数であり、死傷者数の内数

月別発生状況

2016 年以降の月別の熱中症の死傷者数をみると、全体の8割以上が7月及び8月に発生しています。
一方で、6月から9月における月別の死傷者数に占める死亡者数の割合は9月、7月、8月の順に高くなっています。
2020年の死亡災害は5月から9月に発生し、5月は1名、7月は3名、8月は 14 名、9月は1名が死亡しており、年内の月別発生割合をみると2019 年に比べ8月の発生割合が高くなってしまいました。
やはりイメージ通り、7月8月のが突出して件数が多くなっています。


5月
以前
6月 7月 8月 9月 10月以降
2016年 12
(0)
26
(2)
162
(2)
219
(6)
39
(2)
4
(0)
462
(12)
2017年 19
(0)
25
(0)
264
(9)
222
(5)
13
(0)
1
(0)
544
(14)
2018年 19
(0)
60
(2)
697
(17)
366
(8)
31
(1)
5
(0)
1,178
(28)
2019年 30
(0)
45
(1)
177
(5)
472
(15)
97
(3) 
8
(1)
829
(25)
2020年 18
(1)
83
(0)
109
(3)
623
(14)
81
(1)
5
(0)
919
(19)
98
(1)
239
(5)
1,409
(36)
1,902
(48)
261
(7)
23
(1)
3,932
(98)

※( )内の数値は、死亡者数であり、死傷者数の内数

時間帯別発生状況

2016 年以降の時間帯別の死傷者数をみると、15 時台が最も多く、次いで 14 時台が多くなっていた。
また、意外と多いのが18時台以降の件数です。おそらく日中の作業終了後に帰宅してから体調が悪化して病院へ搬送されるようなケースが多くあったのだと推測できます。


9時台
以前
10時台 11時台 12時台 13時台 14時台 15時台 16時台 17時台 18時台以降
2016年 50
(1)
35
(0)
52
(2)
21
(0)
34
(1)
56
(1)
75
(12)
47
(3)
39
(1)
53
(1)
462
(12)
2017年 47
(0)
41
(1)
67
(3)
33
(1)
51
(0)
56
(1)
69
(4)
69
(4)
35
(2)
63
(0)
544
(14)
2018年 114
(5)
103
(1)
124
(1)
80
(4)
79
(1)
155
(4)
141
(6)
141
(6)
82
(0)
146
(2)
1,178
(28)
2019年 92
(1)
69
(3)
93
(2)
56
(1)
75
(4)
109
(6)
94
(0)
94
(0)
55
(3)
72
(2)
829
(25)
2020年 101
(2)
99
(2)
114
(0)
82
(3)
69
(2)
112
(2)
88
(4)
88
(4)
61
(0)
76
(1)
919
(19)
404
(9)
347
(7)
450
(8)
272
(9)
488
(14)
488
(14)
439
(17)
439
(17)
272
(6)
410
(6)
3,932
(98)

※( )内の数値は、死亡者数であり、死傷者数の内数

コメント

タイトルとURLをコピーしました