1. 導入
指導教育責任者の選任において、実務で最も判断に迷うのが**「どこまでが専任なのか(他の仕事をしていいのか)」と「兼任できる距離と人数」**です。
警察庁が定めている『警備業法等の解釈運用基準』の第20(指導教育責任者)には、これらの具体的な判断基準が示されています。 条文を引用しながら、実務上のポイントを分かりやすく解説します。
2. 「専任」の定義について(掛け持ちはOK?)
まずは「営業所ごとに専任でなければならない」という点についての解釈です。
【基準 第20-2-(1)】 府令第39条第1項中「営業所ごと(略)に、専任」とは、その営業所に常勤して指導教育責任者の業務に従事し得る状態にあることをいう。(中略) 指導教育責任者の業務のみに専従することまで必要とするものではなく、指導教育責任者の業務に支障のない範囲で、警備業務に従事したり、当該営業所の他の業務に従事したりするものであってもよい。
【実務ポイント解説】 「専任」=「その仕事しかしてはいけない」と誤解されがちですが、運用基準では明確に他の業務との兼務を認めています。
- OKな例: 営業所の事務作業、管制業務、支障のない範囲での現場応援。
- NGな例: 他の営業所との掛け持ち(常駐できないため)、全く別の職業(副業等)で営業時間中にいないこと。
3. 複数の営業所を「兼任」できる条件
小規模な営業所の場合、一人の指導教育責任者が2つの営業所を見ることが特例として認められています。その具体的な「距離」と「人数」の基準です。
【基準 第20-2-(3)〜(5)】 (3) 「近接する」とは、二つの営業所における指導及び教育に関する業務を適時適切に行うことができる距離にあることをいい、おおむね片道1時間以内で行ける距離にあることが必要である。 (4) 兼任の承認は、「近接」及び「5人以下」の要件を満たし(中略)当該警備業務の区分について行うこと。 (5) 3以上の営業所の指導教育責任者を兼ねることとなる場合には、兼任を認めないこと。
【実務ポイント解説】 兼任の承認を受けるための「3つの壁」があります。
- 距離の壁: 片道おおむね 1時間以内 であること。
- 人数の壁: 兼任先の警備員数が 5人以下 であること。
- 数の壁: 兼任できるのは 最大2営業所 まで(3つ目は不可)。
特に「片道1時間」は交通事情も含めて厳密に見られる傾向があるため、所轄警察署への事前相談が必須です。
4. 元警察官などの特例認定(資格者証の交付)
講習を受けなくても、過去の経歴によって指導教育責任者として認定されるケース(いわゆる2号認定)の基準です。
【基準 第20-5-(2)】 ① 警視以上の警察官であった者で警備員の指導及び教育に関する業務における管理的又は監督的地位にあった期間が通算して3年以上(略) ② 警察官であった者でその在職中警備業の指導及び監督に関する業務に直接従事した期間が通算して3年以上(略)
【実務ポイント解説】 警察OBを受け入れる際などの基準です。 ただし、基準20-5-(4)にある通り、基本的には「講習を受けた者が望ましい」とされており、認定は慎重に運用されています。申請する際は、経歴証明書の準備など入念な準備が必要です。
5. まとめ
解釈運用基準を知っておけば、警察の生活安全課担当者と話をする際もスムーズに進みます。 特に「専任」の解釈(他の業務もして良い)は、中小警備会社の人員配置において非常に重要な根拠となります。


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