警備員は業務の性質上、事件や事故に遭遇する機会が一般の方よりも圧倒的に多い職種です。 万が一の際、適切な通報ができるかどうかは、人の生命や財産を守るだけでなく、その後の警察の捜査効率にも直結します。
「いざという時に言葉が出ない」という事態を防ぐため、110番通報の正しい要領と、プロとして報告すべき項目を整理しておきましょう。
110番通報で報告すべき「7つの必須項目」
警察官は電話口で、あらかじめ決められた順番で質問を投げかけてきます。慌てずに、以下の項目を伝えられるよう準備しましょう。通報前にメモを用意するのが理想です。
- 事件・事故の種類: 「泥棒です」「交通事故です」「不審者が暴れています」など簡潔に。
- 発生日時と場所: 「たった今」「〇分前」。場所は住所のほか、正確なビル名や階数。
- 被害の状況: 負傷者の数、意識の有無、出血の状態など(救急車の手配が必要か判断されます)。
- 犯人・車両の情報: 性別、推定年齢、服装、持ち物、逃走方向。車両なら色、型、ナンバー。
- 現在の状況: 「犯人はまだ現場にいる」「〇〇方向へ逃走した」など。
- 通報者の氏名・連絡先: 「〇〇警備会社の警備員、〇〇(氏名)」とはっきり名乗る。
- 現在地の目印: 近くにある大きな建物、交差点名、コンビニの店名など。
【実務のポイント】 110番通報は、所轄の警察署ではなく「通信指令室」に繋がります。土地勘のない担当者が対応することもあるため、**「住所がわからない場合は、近くの電柱や自販機にある住所表示」**を探して伝えると非常に正確です。
連絡状況別の対応方法
警備員自身が現場から直接通報する場合
迅速かつ正確を期すため、現場から直接通報するのが原則です。 ただし、犯人が近くにいる場合は、通報していることを知られて攻撃されたり、逃走を許したりする危険があります。身の安全を最優先に確保し、可能な限り犯人から見えない死角から通報してください。
目撃者から連絡を受けて通報する場合
目撃者は動転していることが多いです。まずは相手を落ち着かせ、「私がついていますから大丈夫ですよ」と安心感を与えましょう。 理想は**「目撃者本人に直接通報してもらうこと」**です。本人の生の証言が最も証拠能力が高いためです。その際、警備員は横に付き添い、場所の正確な名称や住所を聞かれた際に補足してあげるのがベストな連携です。
第三者に通報を依頼する場合
自分が負傷している、あるいは現場の保存(遺留品の防護など)に手一杯で直接通報できない場合、周囲の人に依頼します。 この時、「誰か通報して!」と叫ぶのではなく、**「そこの青い服を着た方、110番をお願いします!」**と特定の人を指名するのがコツです。また、伝えるべき「重要事項」を紙に書くか、口頭で明確に伝えてから託しましょう。
現場における特殊なケースへの対応
- 保護を要する人物(子供・高齢者・迷子など) 氏名、住所、連絡先だけでなく、身体的特徴や「いつからここにいたか」を聞き取り、メモしておきます。警察官が到着するまで、不安にさせないよう優しく声をかけ続けましょう。
- 死体(変死体)を発見した場合 絶対に触れてはいけません(鑑識活動に支障が出るため)。また、野次馬の視線やスマホでの撮影から保護するため、毛布やブルーシート、パーテーション等で周囲の視線を遮る配慮が必要です。ただし、証拠を動かさないよう、設置には細心の注意を払ってください。
まとめ
110番通報は「訓練」がすべてです。 「まず事件か事故か聞かれる」「次に場所を聞かれる」という流れを頭の中でシミュレーションしておくだけで、実際の現場での落ち着きが全く違います。 普段から、自分の担当施設の正確な住所や、一番近い警察署の場所を確認しておくことから始めましょう。


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