警備員の緊急時対応において、状況確認、119番通報、初期消火、避難誘導は極めて重要な任務です。これらを適切に遂行するため、火災のメカニズムと特性を理解する必要があります。
1. 火災の定義
火災とは、以下の3要素を満たす燃焼現象を指します。
- 人の意思に反して発生・拡大したもの(または放火によるもの)。
- 消火の必要があるもの。
- 消火設備または同程度の用具(消火器等)を必要とするもの。
2. 燃焼のメカニズム(燃焼の3要素)
物が燃えるには、以下の3つが同時に揃う必要があります。
- 可燃物: 燃えるもの
- 酸素: 空気に含まれる酸素供給源
- 熱源: 点火エネルギー
このうち1つでも取り除けば、燃焼は停止します。
3. 消火の3大原則
「燃焼の3要素」に対応した、以下の3つの消火法が基本となります。
- 冷却消火法(熱を奪う)
- 注水等により、可燃物を発火点以下の温度に下げる方法。水は気化熱による冷却効果が高く、最も一般的です。
- 窒息消火法(酸素を断つ)
- 砂や毛布等で覆い、酸素の供給を遮断する方法。
- 除去消火法(可燃物を絶つ)
- ガスの元栓を閉める、延焼防止のために周囲の木を伐採するなど、燃えるもの自体を取り除く方法。
- ※その他:抑制作用(化学反応を抑える)を利用したハロゲン化物消火設備等もあります。
4. 煙の特性
火災時の煙には有害物質が含まれ、視界を遮るだけでなく呼吸困難を引き起こします。
- 横方向の移動速度: 秒速 0.3~0.8m(歩行速度より遅い)
- 縦方向の移動速度: 秒速 3~5m(人が階段を駆け上がるより速い)
- 重要:煙と熱気は上層階へ極めて速く広がるため、上方向への避難はリスクが高いといえます。
5. 有毒ガスと酸欠
火災現場では、燃焼に伴い一酸化炭素(CO)や二酸化炭素(CO2)が発生します。
- 一酸化炭素の危険性: ヘモグロビンとの結合力が酸素の200~300倍あり、吸入すると急激な酸素不足(一酸化炭素中毒)を招きます。
- その他のガス: 燃焼物によりシアン化水素、亜硫酸ガス等が発生する場合があり、酸素濃度低下による窒息の危険も伴います。
6. フラッシュオーバー
室内火災において、熱が蓄積され、爆発的に部屋全体が炎に包まれる現象です。
- 発生目安: 出火後およそ3分~10分。
- 対応: この状態に至ると初期消火は不可能です。直ちに退避し、消防隊へ引き継いでください。
7. 安全確保
消火活動を行う際は、必ず「避難経路(退路)」を背後に確保してください。煙の回り込みに注意し、退路が断たれる前に離脱することが最優先です。


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