巡回

巡回の目的

 

施設警備業務における巡回は、警備員が警備計画書、警備指令書、などに基づいて五感を働かせながら回り、警備業務対象施設における盗難、火災による被害の発生を防止し、被害が発生した際に迅速に対応することで被害を最小限にとどめるために行うものです。

 

ただ、一口に巡回と言っても、目的や巡回の仕方も様々です。このページでは巡回の種類と巡回するうえでの注意事項等について紹介しています。

 

 

巡回の主な形態

 

巡回の基本形態は、その方法や内容によっておおむね次のように区分することが出来ます。

 

巡回時刻を主眼とした区分

定時巡回・・・あらかじめ定められた時刻に行う巡回
臨時巡回・・・定時巡回以外に随時行う巡回

 

巡回経路を主眼とした区分

定線巡回・・・あらかじめ指定された経路に従って行う巡回
乱線巡回・・・巡回経路の指定は行わず、その都度警備員の判断によって、自由な経路を選択する巡回

 

巡回人数を主眼とした区分

単独巡回・・・警備員1名が単独で行う巡回
複数巡回・・・警備員が2名以上で行う巡回

 

巡回方法を主眼とした区分

徒歩巡回・・・徒歩によって行う巡回
車両巡回・・・自転車、バイク、自動車等の車両を使用して行う巡回

 

巡回地域を主眼とした区分

屋内巡回・・・巡回経路が警備対象施設の内部(屋内)に限定されている巡回
屋外巡回・・・巡回経路が警備対象施設の外部(屋外)に限定されている巡回

 

巡回目的を主眼とした区分

刻時巡回・・・警備員が打刻機能とその記録用紙を内蔵する巡回時計を携帯し、巡回経路上の重要箇所に設置してある打刻用鍵を使用して、それぞれの箇所にある巡回時刻を記録します。
パトロールレコーダー

 

効果的な実施方法

 

巡回業務の効果を高めるには、警備業務対象施設の実態をよく把握しておくとともに、日常の勤務を通じて知り得た各種情報をもとに、効果的な時間帯、経路、方法を選択する。また、早期に不始末や具合を発見し、その都度手直しするのはもちろんのこと、一定期間にわたって観察し、警備上の問題点を追及し、その対応手段を講じるなど、より完全な警備環境づくりに努めることが大切です。

 

また、先に述べた巡回種類の区分を組み合わせることによって、より効果的な巡回を実施することが出来ます。

 

定時巡回と臨時巡回の組み合わせ

 

毎日一定の時刻に巡回することは、それぞれの時刻における現場の状況が把握でき、異常を早期に発見することが出来る反面、犯罪を企てている者から見れば、巡回時刻が事前に予測できるため、決して完璧とはいえません。
そのためには、適宜臨時巡回を組み合わせることによって、犯罪を企てている者に付け入る隙を与えない巡回となります。

 

定線巡回と乱線巡回の組み合わせ

 

定線巡回は重点箇所をすべてカバーしていることから、見落としが少ないと考えられますが、定時巡回と同様に犯罪を企てている者からすれば付け入る隙を与えやすくなってしまいます。
乱線巡回を織り交ぜることによってより強固な巡回を行う事が出来ます。

 

巡回時の留意事項

 

巡回業務を効果的に実施するためには、警備業務対象施設の実態把握や、社員との良好な人間関係の構築が大切です。また、巡回時には細心の注意力と警戒心を持って勤務することが大切です。

 

巡回時には以下のことに留意して行う事が大切です。

 

事前準備

 

  • 警備業務対象施設における警備上の重点箇所、巡回時の点検事項、巡回の経路、巡回要領等を確認し、巡回の目的意識を明確にしておく。
  • 防犯・防災用設備の位置を確認しておくとともに、それらの取り扱い方法等についても確認しておく。
  • 防犯的見地から、注意すべき建物の構造及び過去に発生した犯罪の傾向と種別を研究しておく。
  • 巡回実施中の着眼事項について十分に理解しておく。特に、過去の代表的な事故事例を検討し、同一環境の場所を点検する際の着眼点とする。

 

巡回出発前

 

  • 巡回勤務出発前に巡回コースを再確認し、前回の勤務者からの申し送り事項をよく理解しておく。
  • 鍵、懐中電灯、筆記用具等の装備を点検しておく。
  • 残業届け、作業届け等を確認し、その日の残留者や、外部業者の状況を把握しておく。

 

巡回実施中

 

  • 巡回は定められた通りに的確に行い、その目的達成に努める。
  • 所定の時間に巡回し、異常な音、におい等を感知したら、その原因を最後まで突き止めようとする。
  • 屋外の巡回は明るい電灯や、月明かりの中の歩行を出来る限り避け、不審な兆候、不審者の気配が感じられたら、物陰か暗がりの中に身を置いて、その実態の確認に努める。
  • 建物の角を曲がる場合は、曲がる手前で数秒間停止し、耳を働かせて安全確認をしてから大きく曲がるなどの安全行動をとる。
  • 巡回中は自分の足音、扉を開閉する際の音にも注意し、不要な音を出さないようにする。また不必要なライトの点灯を避け、巡回の行動を察知されないようにする。
  • 扉を開けて建物内に入るときは、開けてから内部の周期、人の気配等を窺った後に入るなど、危害予防に注意する。
  • 施錠箇所を開けたときは、その後確実に施錠する。またもともと施錠してある箇所も、きちんと施錠されているか確実に点検を行う。
  • 窓の未施錠を発見した時は、まず、室内から外部目視点検し、さらに窓から顔を出し、周囲を十分に目視して周囲に不審者がいないか確認する。
  • 未処理の吸い殻があった場合には、所定の吸い殻缶等に確実に処理する。
  • 消火器が転倒している等設備機器が所定の状況にない場合は、周囲の安全を確認した後、機器の点検をして所定の状態に戻しておく。
  • 倉庫室、トイレの掃除器具置き場等も不審者が潜んでいる可能性もあるので確実に点検する。
  • 不審者に遭遇した場合は、十分な間合い(昼は3歩、夜は6歩程度)をとり、身分確認をする。
  • 取り扱った事項、その処置、特異事項はその都度メモする。

 

巡回終了後

 

巡回中に見聞きした事項、取り扱った事項、その処置その他得意事項について勤務責任者に報告するとともに、次回巡回車に確実に申し送りをし、次回巡回時の着眼とさせる。
巡回中に発見した改善点等については、必ず報告書に書いて提出する。

 

 

巡回時に注目すべきポイント

 

屋内巡回

 

  • 最初の巡回の時に見た室内の状況を記憶しておき、次の巡回時にその変化の有無に注意する
  • 扉、窓、シャッター等の開放、施錠の有無、破損個所の有無
  • 重要機密箇所の施錠の有無
  • 金庫及びロッカーの施錠の有無の確認
  • 階段、通路、トイレ等の潜伏可能箇所
  • 吸い殻及び吸い殻入れ等の日の不始末
  • 冷暖房器具(石油・ガス・電気)の後始末
  • 厨房・給湯室等の火気使用場所の後始末
  • 電気器具のスイッチの切り忘れ、電灯、OA機器、各種配線類の故障または過熱の有無
  • 外観点検における消火器等の消火設備、警報設備、避難設備、防火区画等
  • 避難通路、避難口、防火戸等の周辺状況の適否

 

外周巡回

 

  • 外部からの侵入に利用される恐れのある建物の構造、隣接家屋、ビル、電柱、隣家との板塀、樹木、建築足場等に対する防犯点検を確実にする。
  • 外部からの侵入に利用される恐れのあるはしご等の除去
  • 侵入される恐れのある出入り口のシャッター、扉、各部屋扉、窓の施錠
  • 建築現場、工事用敷地内の材料置き場等の潜伏に利用されるおそれのある場所
  • 変質者、泥酔者、浮浪者等の有無
  • たき火等の火気使用状況の確認及び後始末状況
  • 外観点検における消火器等の消火設備、警報設備、避難設備等
  • 避難口等の周辺状況の適否