出入管理業務

出入管理業務の目的

出入管理業務の目的は、警備業務対象施設における人、者、車両等の出入りをチェックすることによって、いつ、だれが、どこに出入りしたのかを管理し、施設内からの各種情報の漏洩、施設関係者等の内部犯行、危険物の持ち込みといった犯罪や事故等を防止する目的として行われます。

 

このページでは出入管理の種類や基本的な対応方法について紹介しています。

 

 

出入管理の基本

 

出入管理の基本は、「資格と必要性」の確認です。
例えば入場しようとするものがいた場合に、その人には入場するために資格が備わっているかを身分証明書等によって確認します。
また、契約先関係者で普段から頻繁に出入りする人物であったとしても、入場禁止区域、時間帯によっては、入場資格が備わっているとは限りません。
時間外入場許可証等でその都度確認を取る必要があります。

 

過去の事故発生状況等の情報収集や警備業務対象施設の人、物、車両等の曜日や時間帯による出入りの違いを踏まえたうえで、契約先の管理者と警備計画書、警備指令書について十分に検討・調整することによって、犯罪抑止効果の高い適正な警備業務を実施することが出来ます。

 

出入管理業務に従事する警備員は、自分自身が警備業務対象施設の対外接点にあり、その対応の適否が、直ちに部外の人々にとって、当該施設に対する印象や評価に影響を及ぼすことを考慮し、規定事項の厳正な履行に心がけるとともに、言葉遣いや態度、礼節には特に気を付けましょう。
また警備員が日々誠意を持ち、確実な警備業務を実施することが、契約先の安全意識の高揚にもつながり、警備業務に対する契約先の協力を求めやすくなります。

 

出入管理を行う警備員は、確認時に様々な要因によって、警戒心が希薄にならないように努め、心理的にも物理的にも死角を発生しないように留意しなければいけません。

 

出入管理業務中に万が一事故等が発生した場合には、的確な判断力と機敏な行動で対処し、被害を最小限に食い止めることが警備業務の基本です。

 

出入管理の形態

 

人の出入管理

 

人の出入管理は、警備業務対象施設内への「不審者」の侵入を防止することを目的として行われます。
警備業務対象施設の種類は千差万別であり、どのような範囲で人の入場を許可するか、どのような方法によって正当な入場者と不審者と区別するかなどは、対象施設の性格によって当然に異なってくるものですから、入場を許可する人の範囲と識別方法については契約先と十分に協議し、警備員はその内容を熟知している必要があります。

 

施設関係者の出入管理

 

出入りする人の数が多いデパート、病院、工場、大規模テナントビルなどの施設では、それらに出入りするすべての人を警備員が記憶することは不可能であり、警備実施上も人の記憶に頼るのは好ましい方法とはいえません。
また、小規模施設などで出入りする人の数が限られている場合であっても、担当警備員の交代などがあった際には、出入りする人の識別方法としての意味がなくなってしまいます。
そこで客観的かつ画一的な識別方法として、次のようなものがあります。

 

身分証明書による方法

 

人を識別するための最も有効な手段は、身分証明書による確認です。そのため、警備員は正しい見本等を熟知し、そのチェック要領に習熟することが必要です。
また、忘れてきた人がいた場合には、偽装入場の疑いもありますので、たとえ面識のある人であっても来訪者に準じた方法によって、その資格と必要性をチェックする必要があります。
身分証明書をチェックする際の着眼項目は、通常次のとおりです。

 

  • 写真、契印の確認
  • 有効期限、発行日、発行者印などの確認
  • 性別、年齢、社員ナンバーなどの確認

 

バッジ、社員章などによる方法

 

雑居ビル、工場などの様に多くの人が一時的に出入りする施設においては、全ての人に対して身分証明書の提示を求めその記載事項によって確認することは非常に難しいです。
そのような施設に常時出入りする人には、バッジ、社員章、制服、制帽を着用してもらい、それらを確認することによって、不審者の発見を容易にすることが出来ます。
警備員は、指定されは社員章などを装着していない人や、装着しているが、不審な動きをしている人に対しで身分証明書の提示を求めるなどして、不審者の侵入を防止することが出来ます。

 

一時出入り者の出入管理

 

警備業務対象施設の種類にもよりますが、業者、来訪者など施設内勤務者以外の外来者については、次のような方法で管理することによって、不審者の侵入を防止することが出来ます。

 

「来訪者パス」などを発行する方法

 

来訪者パスなどを警備員室に用意し、来訪者があれば、その都度来訪者パスなどを発行する。
来訪者は、この来訪者パスなどを携行して要件先に赴き、要件先の受け入れ時間、要件先の出発時間、退場時間などを把握することが出来、これらを対照することで、来訪目的以外の施設内における行動をチェックすることが出来ます。

 

出入管理簿による方法

 

一時出入り者に対して、あらかじめ準備した出入管理簿に、その氏名、所属会社名、電話番号、訪問先、要件、出入り時間などの基調を求める方法をいいます。

 

同行による監視の方法

 

「同行による監視の方法」とは、重要な区域、重要な業務、重要な人物などを防護するための出入管理方法です。
出入管理を行う警備員が来訪者の訪問先まで同行し、訪問先の担当者に引き継ぐ。要件終了後は、警備員が連絡を受けて訪問先から退場場所まで同行するという手順で行います。
この方法は、出入管理簿への記載と来訪者パス等の発行による一時出入者の確認をより確実に行うための手段です。
重要な区域、重要な業務、重要な人物等を防護するための出入管理方法です。

 

カード交換方式

 

「カード交換方式」とは、警備業務対象施設そのものへの出入りや施設内特定区域への出入りについて、特殊パス、磁気カードなどのカードを使用することによって出入管理をする方法です。

 

個人認証、自動認識機器による方法

 

閉鎖的な場所、例えば重要な施設、金庫室、薬品庫、研究施設等の場所ではほどんど関係者以外の立ち入りを禁じていることが多く、いつ、だれが、どこに、どのくらいの時間、入退場したのかを記録管理することによって情報の流出を抑えることが出来ます。

 

物の出入管理

 

物の出入管理は、施設内への危険物等の持ち込みを防止するとともに、商品、主要物件、新商品、その他企業秘密に属するものなど、施設外への不要な持ち出しの防止を目的として行われます。
特に重要施設等においては、危険物、爆発物等の持ち込み防止を図るため、各種検査機器を用いて警戒を行っています。
物に関する出入管理で、比較的多く実施されている方法は次の通りです。

 

帳票との照合

 

帳票とは、包装紙、シール、レシート等をいい、デパートやスーパーなどにおいて、買い上げ品以外の商品などが不正に持ち出されることを防ぐための管理方法のひとつです。

 

持ち出そうとする物件を包装紙、シール、レシートなどによって不正搬出したものでないと確認します。

 

物品搬出許可書

 

物品搬出許可書は、持ち出そうとする物品が正規の手続きを経たものであることを証する書類によって確認する方法です。

 

たとえは、個人用物品については従業員の監督者、社用物品出荷部門の責任者などが、物品搬出許可書を発行し、それを確認することによって不正に物が持ち出されることを防止します。

 

物品持込証明書

 

物品持込証明書は、施設内の商品、資材等と、入場者が持ち込む物品の混同を避けるために、それらを持ち込む際に発行することによって入場者が持ち込んだものをあらかじめ明らかにしておく方法です。

 

出入管理を行う警備員が、入場者に対して受付時に物品持込証明書に、持ち込む物品の必要事項を記入させて、内容を確認したうえで入場させます。

 

所持品の検査

 

物の出入管理の場合には、出入りする人の所持品を検査する場合もあります。

 

この場合の所持品検査はあくまでも相手方の任意の協力に基づいておこなうものであり、警備員が相手の意思に反して強制することは出来ません。
相手が検査を拒否した場合には、出入りを拒否し、場合によっては施設管理者に報告し、その後の措置をゆだねることになります。

 

事前に契約者と所持品検査の方法等に関するルールを決めておき、そのルールにのっとって行うことでトラブルを軽減できます。

 

車両の出入管理