警備業務の共同実施に関する指針1 警備業務の共同実施の法的位置付け

警備業務の共同実施に関する指針1 警備業務の共同実施の法的位置付け

(1) 共同企業体の構成員の責任及び業務の分担の明確化

 

複数の警備業者(機械警備業者を除く。以下同じ。)が共同して警備業務の提供行為の委託を受け、一の警備業務対象施設等(警備業務対象施設その他の警備業務が実施される場所等をいう。以下同じ。)において、警備業務を共同して実施すること(以下「警備業務の共同実施」という。)とする場合には、各警備業者間は、一般に共同企業体(ジョイント・ベンチャー(JV))と称される一種の民法上の組合(以下「共同企業体」という。)。 を構成しているものと解されるこの場合において、共同企業体の構成員間の任務分担及び責任関係が明確に定められていないときには、法第11条第2項の規定による指導監督が適正に行
われないなど、警備業務の実施の適正を阻害するおそれがある。

 

そのため、共同企業体による警備業務の共同実施に当たっては、共同企業体の構成員である各警備業者が各々その者の雇用する警備員に対する指導監督を行うことはもとより、一の警備業務対象施設等における警備業務の実施の適正を確保し、警備業務の提供行為を委託する者(以下「利用者」という。)の保護を図るため、警備業務を共同実施する構成員間の業務分担と連絡調整を適正に行い、各警備業者がその責任を明確にする必要がある。

 

(2) 警備業務の共同実施と労働者派遣事業の禁止の関係

 

警備業務については、労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の就業条件の整備等に関する法律(昭和60法律第88号。以下「労働者派遣法」という。)第4条第1項の規定により、 。 労働者派遣事業が一切認められていない一方、共同企業体は民法上の組合の一種と解されていることから、構成員が自己の雇用する労働者を共同企業体の他の構成員の労働者等の指揮命令の下に従事させたとしても、通常、それは自己のために行われるものとなり、当該法律関係は、構成員の雇用する労働者を他人の指揮命令を受けて「自己のために」労働に従事させるものであり、労働者派遣(労働者派遣法第2条第1号)には該当しない(別紙
「労働者派遣事業関係業務取扱要領(抄)」(平成11年11月17日付け労働省職発第814号、女発第325号別添)参照 。)

 

しかし、警備員が自己を雇用する警備業者の使用関係を離れて警備業務を行うこと又は当該警備業者以外の者からの指揮命令を受けて警備業務を行うことは、警備員の不適正な警備業務の実施を誘発するおそれがあることから、警備業者がその者の雇用する警備員に対し、必要な指導・監督を行うことが義務付けられている(法第11条第2項 。)

 

したがって、警備業務の共同実施を行う場合には、共同企業体として一の警備業務対象施設等につき受注した業務を区域等で分担し、各構成員がその責任において業務を実施することは認められるが、各構成員があらかじめ定めた出資割合に応じて資金、人員等を拠出し一体として業務を実施するなど、個々の警備員に対する各構成員の指導監督をそれぞれ明確に区分することができない態様で業務を実施することは認められない。