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警備業法第14条(警備員の制限)

警備業法

18歳未満の者又は第3条第1号から第7号までのいずれかに該当する者は、警備員となってはならない。

 

2 警備業者は、前項に規定する者を警備業務に従事させてはならない。

 

 

解説

 

第14条では警備員になるための最低限の条件を示しています。(欠格事項)

 

3条の警備業を営むための条件の1〜7号のすべてと18歳以上の者という条件を満たしている必要があるということです。

 

第3条の1〜7号に関しては以下の通りです。
またそれぞれの条文に関しての解説は条文をクリックするとジャンプします。

 

成年被後見人若しくは被保佐人又は破産者で復権を得ないもの

 

二 禁錮以上の刑に処せられ、又はこの法律の規定に違反して罰金の刑に処せられ、その執行を終わり、又は執行を受けることがなくなつた日から起算して5年を経過しない者

 

三 最近5年間に、この法律の規定、この法律に基づく命令の規定若 しくは処分に違反し、又は警備業務に関し他の法令の規定に違反する重大な不正行為で国家公安委員会規則で定めるものをした者

 

四 集団的に、又は常習的に暴力的不法行為その他の罪に当たる違法 な行為で国家公安委員会規則で定めるものを行うおそれがあると認めるに足りる相当な理由がある者

 

五 暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律(平成3年法律 第77号)第12条若しくは第12条の6の規定による命令又は同法第12 条の4第2項の規定による指示を受けた者であつて、当該命令又は 指示を受けた日から起算して3年を経過しないもの

 

六 アルコール、麻薬、大麻、あへん又は覚醒剤の中毒者

 

七 心身の障害により警備業務を適正に行うことができない者として 国家公安委員会規則で定めるもの

 

※2019年12月14日に法改正が施行され、第1号の”成年被後見人若しくは被保佐人又は”は削除されました。

 

 

第3条第1号〜7号の解説

 

成年被後見人若しくは被保佐人又は破産者で復権を得ないもの

 

2019年12月14日に法改正が施行されました。
正確には、「破産手続きの開始を受けて復権を得ない者」と改正されています。

 

 

成年被後見人・・・ 認知症や知的障害等の精神上の疾患により判断能力が著しく低下した方の財産を保護するために、家庭裁判所から選任されて、ご本人の財産保護や身上監護を行う者のことです。

 

成年被保佐人・・・成年被後見人ほどではないが、判断能力が著しく不十分な方(例:日常の買い物程度ならできるが、大きな財産を購入したり、契約を締結したりすることは難しい方、中程度の認知症の方など)

 

破産者で復権を得ないもの・・・自己破産をしてから復権(破産者ではなくなる)を得ていない人を指します。復権を得るまでの期間は一般的に3か月〜1年程度と、比較的短いもののようです。

 

破産と復権に関してましては、こちらのページで詳しく紹介しています。

 

※被補助人・・・さらに軽度の認知症等の方を指しますが、これに該当しても警備業法上問題ありません。

 

禁錮以上の刑に処せられ、又はこの法律の規定に違反して罰金の刑に処せられ、その執行を終わり、又は執行を受けることがなくなつた日から起算して5年を経過しない者

 

刑法等で禁固5年以上の刑を終えてから、もしくは警備業法で罰金刑を受けて罰金を払ってから5年たっていない人は資格がありません。

 

 

最近5年間に、この法律の規定、この法律に基づく命令の規定若しくは処分に違反し、又は警備業務に関し他の法令の規定に違反する重大な不正行為で国家公安委員会規則で定めるものをした者

 

重大な不正行為というのは様々なものがあるようです。

 

主なものとして警備業法第15条違反や、放火、暴行、盗犯に関する犯罪などが該当するようです。

 

細かく知りたい方はこちらのページをご覧ください。

 

 

集団的に、又は常習的に暴力的不法行為その他の罪に当たる違法な行為で国家公安委員会規則で定めるものを行うおそれがあると認めるに足りる相当な理由がある者

 

暴力団のように、日常的に暴力行為を行う可能性があるような人のことを指しています。

 

暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律により詳細なことが書かれています。

 

暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律(平成3年法律 第77号)第12条若しくは第12条の6の規定による命令又は同法第12条の4第2項の規定による指示を受けた者であつて、当該命令又は 指示を受けた日から起算して3年を経過しないもの

 

暴力的要求行為をしている人に対し、繰り返し同じようなことをする可能性があると認められた場合は、暴力的要求行為中止命令が出されます。違反した場合は3年以下の懲役、または250万円以下の罰金に処されます。

 

 

暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律(平成3年法律 第77号)第12条に関しては、こちらで紹介しています。

 

暴力的要求行為が具体的にどんなものなのかに関してはこちらで解説しています。

 

 

アルコール、麻薬、大麻、あへん又は覚醒剤の中毒者

 

これは文字通りです。麻薬や、アルコールの中毒者は警備業を営むことが出来ません。

 

営業する際には医者の診断書が必要になります。

 

心身の障害により警備業務を適正に行うことができない者として 国家公安委員会規則で定めるもの

 

具体的な病気名をあげると、うつ病や統合失調症などのことを指しています。

 

あくまでも「警備の仕事が適正に行えないレベルならば」なので、医師の診断で問題ないと判断されれば大丈夫です。

 

 

 

警備員の仕事というのは、他人の生命、身体、財産等を守るという業務に直接携わり、場合によっては瞬時に適切な判断をしたり、責任感をもって業務をこなす能力が必要とされます。また業務の性質上、 他人の権利や自由を侵害するおそれのある場面に遭遇する可能性が非常に高いです。

 

また信頼できる人材であるということも最低限の条件として挙げられます。

 

このため、通常の判断力、自制力及び常識のない者には、適正な警備業務の 実施は期待できないと考えられるので、このような者が警備員となることを禁止し、不適格者を警備員から排除するための最低条件をこの条文で設定しています。

 

警備会社は警備員を新たに採用する場合には、これらの項目に関して一私人として可能な範囲で確認する必要があります。

 

口頭での確認はもちろんのこと、医者の診断書をとらせたり、身分証明書(破産者かどうかの確認)提出を依頼したり、本人に誓約書を書かせるなどの手段を使います。