警備業法3条(警備業の要件)
次の各号のいずれかに該当する者は、警備業を営んではならない。
一 成年被後見人若しくは被保佐人又は破産者で復権を得ないもの
二 禁錮以上の刑に処せられ、又はこの法律の規定に違反して罰金の刑に処せられ、その執行を終わり、又は執行を受けることがなくなつた日から起算して5年を経過しない者
三 最近5年間に、この法律の規定、この法律に基づく命令の規定若 しくは処分に違反し、又は警備業務に関し他の法令の規定に違反する重大な不正行為で国家公安委員会規則で定めるものをした者
四 集団的に、又は常習的に暴力的不法行為その他の罪に当たる違法 な行為で国家公安委員会規則で定めるものを行うおそれがあると認めるに足りる相当な理由がある者
七 心身の障害により警備業務を適正に行うことができない者として 国家公安委員会規則で定めるもの
八 営業に関し成年者と同一の行為能力を有しない未成年者。ただ し、その者が警備業者の相続人であって、その法定代理人が前各号及び第10号のいずれにも該当しない場合を除くものとする。
解説
警備業を営むには以上のように10個の条件を満たす必要があります。
読んだだけでは理解しにくいものもあると思うので、順に解説していきます。
成年被後見人若しくは被保佐人又は破産者で復権を得ないもの
2019年12月14日に法改正が施行されました。
正確には、「破産手続きの開始を受けて復権を得ない者」と改正されています。
成年被後見人・・・ 認知症や知的障害等の精神上の疾患により判断能力が著しく低下した方の財産を保護するために、家庭裁判所から選任されて、ご本人の財産保護や身上監護を行う者のことです。
成年被保佐人・・・成年被後見人ほどではないが、判断能力が著しく不十分な方(例:日常の買い物程度ならできるが、大きな財産を購入したり、契約を締結したりすることは難しい方、中程度の認知症の方など)
破産者で復権を得ないもの・・・自己破産をしてから復権(破産者ではなくなる)を得ていない人を指します。復権を得るまでの期間は一般的に3か月〜1年程度と、比較的短いもののようです。
破産と復権に関してましては、こちらのページで詳しく紹介しています。
※被補助人・・・さらに軽度の認知症等の方を指しますが、これに該当しても警備業法上問題ありません。
禁錮以上の刑に処せられ、又はこの法律の規定に違反して罰金の刑に処せられ、その執行を終わり、又は執行を受けることがなくなつた日から起算して5年を経過しない者
刑法等で禁固5年以上の刑を終えてから、もしくは警備業法で罰金刑を受けて罰金を払ってから5年たっていない人は資格がありません。
最近5年間に、この法律の規定、この法律に基づく命令の規定若しくは処分に違反し、又は警備業務に関し他の法令の規定に違反する重大な不正行為で国家公安委員会規則で定めるものをした者
重大な不正行為というのは様々なものがあるようです。
主なものとして警備業法第15条違反や、放火、暴行、盗犯に関する犯罪などが該当するようです。
重大な不正行為の内容関しては、警備業の要件に関する規則 第1条(重大な不正行為)にて細かく規定されています。
集団的に、又は常習的に暴力的不法行為その他の罪に当たる違法な行為で国家公安委員会規則で定めるものを行うおそれがあると認めるに足りる相当な理由がある者
暴力団のように、日常的に暴力行為を行う可能性があるような人のことを指しています。
暴力的不法行為とはどういったものことをいうのかは、警備業の要件に関する規則 第2条(暴力的不法行為その他の罪に当たる行為)に定められています。
暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律(平成3年法律 第77号)第12条若しくは第12条の6の規定による命令又は同法第12条の4第2項の規定による指示を受けた者であつて、当該命令又は 指示を受けた日から起算して3年を経過しないもの
暴力的要求行為をしている人に対し、繰り返し同じようなことをする可能性があると認められた場合は、暴力的要求行為中止命令が出されます。違反した場合は3年以下の懲役、または250万円以下の罰金に処されます。
暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律により詳細なことが書かれています。
暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律(平成3年法律 第77号)第12条に関しては、こちらで紹介しています。
暴力的要求行為が具体的にどんなものなのかに関してはこちらで解説しています。
アルコール、麻薬、大麻、あへん又は覚醒剤の中毒者
これは文字通りです。麻薬や、アルコールの中毒者は警備業を営むことが出来ません。
営業する際には医者の診断書が必要になります。
心身の障害により警備業務を適正に行うことができない者として 国家公安委員会規則で定めるもの
具体的な病気名をあげると、うつ病や統合失調症などのことを指しています。
あくまでも「警備の仕事が適正に行えないレベルならば」なので、医師の診断で問題ないと判断されれば大丈夫です。
警備業の要件に関する規則 第3条(心身の障害により業務を適正に行うことができない者)
営業に関し成年者と同一の行為能力を有しない未成年者。ただし、その者が警備業者の相続人であって、その法定代理人が前各号及び第10号のいずれにも該当しない場合を除くものとする。
未成年者は警備業を営むことが出来ませんが、親が経営者でそれを引き継ぐ場合は条件付きで認められる場合があります。
営業所ごと及び当該営業所において取り扱う警備業務の区分(前条第1項各号の警備業務の区分をいう。以下同じ。)ごとに第22条第1項の警備員指導教育責任者を選任すると認められないことについて相当な理由がある者
警備業を始める際には業務の区分ごとに1名指導教育責任者を選任しなければならなりません。
この号で言っているのは、申請を出す段階で指導教育責任者として選任しようとする者を具体的に決めていない場合や、選任しようとする者が当該営業所に勤務することが到底期待できない場合等に関しては警備業を行える状態とは認められないですよ、ということです。
法人でその役員(業務を執行する社員、取締役、執行役又はこれらに準ずる者をいい、相談役、顧問その他いかなる名称を有する者であるかを問わず、法人に対し業務を執行する社員、取締役、執行役又はこれらに準ずる者と同等以上の支配力を有するものと認められる者を含む。)のうちに第1号から第7号までのいずれかに該当する者があるもの
会社の役員も今まで上げた項目に該当してはいけません。
第4号に該当する者が出資、融資、取引その他の関係を通じて その事業活動に支配的な影響力を有する者
暴力団関係者とつながりがあり、営業に影響を及ぼす可能性がある場合も認められません。
関連リンク
警備業法等の解釈運用基準 第3 警備業の要件(法第3条関係)