警備業法等の解釈運用基準 第3 警備業の要件(法第3条関係)

警備業法等の解釈運用基準 第3 警備業の要件(法第3条関係)

1 第1号関係

 

法第3条第1号該当の有無については、原則として、登記事項証明書及び市区町村長の証明書(府令第4条第1項第1号ハ)による書面審査により判断すること。

 

2 第2号関係

 

(1) 法第3条第2号該当の有無については、申請者の本籍地の市区町村長に対する前科照会により判断すること。

 

(2) 法第3条第2号の規定は、刑の執行猶予の言渡しを受けてその期間が経過した場合又は大赦若しくは特赦があった場合には適用がないことに留意すること。

 

3 第3号関係

 

(1) 法第3条第3号該当の有無については、原則として、2(1)の前科照会の結果及び部内資料により判断すること。

 

(2) 法第3条第3号該当の有無については、都道府県公安委員会(以下「公安委員会」という。)が既存の資料や調査結果に基づいて認定するものであるが、検察庁又は裁判所の処分結果が不起訴(起訴猶予を除く。)又は無罪の場合は、原則として、同号に該当しないものとして取り扱うこと。

 

(3) 法第3条第3号中「警備業務に関し」とは、警備業務を行うに当たって違反が行われた場合、警備業者又は警備員の立場を利用して違反が行われた場合等警備業務に密接に関連して違反が行われた場合をいい、勤務時間中の行為であっても全く私行上のものは含まれず、勤務時間外の行為であってもその立場を利用して行われたものは含まれる。

 

(4) 要件規則第1条第2号中「違法な行為」とは、同号に列挙された罪に当たる行為で違法性阻却事由のないものをいい、責任要素までは必要としないが、違法性は必要である。

 

(5) 法第3条第3号の要件に係る欠格期間の起算日は、検挙の日でなく当該重大な不正行為をした日であることに留意すること。

 

4 第4号関係

 

(1) 法第3条第4号には、次のような者が該当する。

 

ア 暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律(平成3年法律第77号。以下「暴対法」という。)第2条第6号に規定する暴力団員(以下単に「暴力団員」という。)

 

イ 暴力団員でなくなった日から5年を経過しない者(法第3条第4号に該当し
ないと認める特段の事情がある者を除く。)

 

ウ 暴力団以外の犯罪的組織の構成員で、当該組織の他の構成員の検挙状況等(犯罪率、反復性等)から見た当該組織の性格により、強いぐ犯性が認められる者エ 過去10年間に暴力的不法行為等(要件規則第2条)を行ったことがあり、その動機、背景、手段、日常の素行等から見て強いぐ犯性が認められる者

 

(2) 法第3条第4号該当の有無については、申請者の氏名(フリガナを含む。)、性別及び生年月日を所定の電磁的方法により記録したデータ(以下「申請者データ」という。)を添えて、暴力団対策主管課長に暴力団員又は暴力団員でなくなった日から5年を経過しない者に該当するか否かを照会するほか、必要に応じ、2(1)の前科照会の結果、部内資料、家族、知人等に対する聞込み等による日常の素行の調査等により、総合的にぐ犯性を判断すること。
なお、上記については、刑事局組織犯罪対策部と協議済みである。

 

5 第5号関係

 

(1) 法第3条第5号該当の有無については、申請者データを添えて暴力団対策主管課長に照会すること。

 

なお、上記については、刑事局組織犯罪対策部と協議済みである

 

(2) 法第3条第5号中の暴対法第12条の規定による命令を受けた者とは、暴力団員に暴力的要求行為(同法第2条第7号)をするよう依頼したり、暴力団員による暴力的要求行為をその現場で助けたため、公安委員会から再発防止命令や中止命令を受けた者をいう。

 

(3) 法第3条第5号中の暴対法第12条の6の規定による命令を受けた者とは、暴対法第12条の5で禁止される準暴力的要求行為を行ったため、公安委員会から中止命令や再発防止命令を受けた者をいう。

 

なお、準暴力的要求行為とは、指定暴力団等(暴対法第2条第5号)に所属していない者が、その指定暴力団等の名刺やバッジを借りるなどして、人に対して指定暴力団等の威力を示し、不当な要求を行う行為をいう(同条第8号)。

 

(4) 法第3条第5号中の暴対法第12条の4第2項の規定による指示を受けた者とは、指定暴力団等の暴力団員から準暴力的要求行為を行うよう求められた者のうち、当該暴力団員と元々密接な関係を有すること等から、そのまま放置すれば準暴力的要求行為を行いかねないために、公安委員会から準暴力的要求行為をしてはならない旨の指示を受けた者をいう。

 

6 第6号関係

 

法第3条第6号該当の有無については、原則として、医師の診断書(府令第4条第1項第1号ニ)により判断することとなるが、特に疑わしい場合には、面接調査、聞込み調査等を行い、なお不審点があれば法第51条に規定する医師(以下「指定医」という。)等の専門医の診断を受けることを求め、その診断結果を踏まえて判断すること。

 

7 第7号関係

 

(1) 法第3条第7号該当の有無については、精神病者であれば一律に欠格となるものではなく、精神機能の障害に関する医師の診断書(府令第4条第1項第1号ホ)の提出を受けて、業務を適正に遂行する能力を有するかどうかという観点から判断すべきことに留意すること。例えば、軽度のうつ病と診断されていても、警備業務を適正に行い得ると医師の診断書等から認められるような者は、この欠格要件に該当しない。

 

(2) 公安委員会に提出する診断書を作成する医師については、その専門とする分野を問わないが、法第3条第7号に掲げる者に該当しないことが明らかではない旨記載された診断書が提出された場合には、必要に応じ、面接調査、聞込み調査等を行うほか、指定医の診断を受けることを求め(府令第4条第2項)、その診断結果を踏まえて判断すること。

 

なお、この場合の診断費用は、当該公安委員会の負担とすることが適当である。

 

(3) 医師の診断書には、法第3条第7号に掲げる者に該当しないことが明らかであるかどうかの別が記載されていることを要するが、例えば、精神機能の障害がない旨記載されている診断書であれば、その者が法第3条第7号に掲げる者に該当しないことは明らかであるから、そのような診断書については、府令第4条第1項第1号ホの要件を満たした診断書として取り扱って差し支えない。

 

8 第8号関係

 

(1) 法第3条第8号該当の有無については、原則として、住民票の写し(府令第4条第1項第1号イ)等による書面調査により判断すること。

 

(2) 法第3条第8号中「営業に関し成年者と同一の行為能力を有しない未成年者」とは、親権者又は後見人から営業を許可された者(民法(明治29年法律第89号)第6条)及び婚姻により成年に達したものとみなされる者(民法第753条)以外の未成年者をいう。

 

9 第9号関係

 

(1) 法第3条第9号該当の有無については、原則として、警備員指導教育責任者(以下「指導教育責任者」という。)として選任しようとする者に係る警備員指導教育責任者資格者証(以下「指導教育責任者資格者証」という。)の写し等(府令第4条第1項第3号)による書面審査により判断すること。この場合において、法第22条第7項各号のいずれかに該当するか否かを添付書類等により確認すること。

 

(2) 警備業を営もうとする者は、認定を受けて営業を始めようとする時点において、指導教育責任者を選任していなければならない。法第3条第9号に該当する場合とは、認定をするか否かの判断をする時点で、指導教育責任者として選任しようとする者を具体的に決めていない場合や選任しようとする者が当該営業所に勤務することが到底期待できない場合などである。

 

10 第10号関係

 

(1) 「業務を執行する社員」には、合名会社の社員及び合資会社の無限責任社員が該当する。また、「取締役」とは、株式会社におけるものである。

 

(2) 「執行役」とは、会社法(平成17年法律第86号)第402条に規定する、指名委員会等設置会社に置かれ、その業務執行を行うものである。

 

(3) 「これらに準ずる者」には、株式会社の監査役、一般財団法人及び一般社団法人(一般社団法人及び一般財団法人に関する法律(平成18年法律第48号)第2条第1号に規定する一般財団法人及び一般社団法人をいう。)並びに公益法人の理事及び監事等が該当する。

 

(4) 法人に対して「同等以上の支配力を有する」か否かの判断に当たっては、その者が自己の地位や権限などに基づいて法人の意思決定に関しどの程度実質的な影響力を及ぼし得るかについて、個別具体的に検証することとなるが、例えば、次のような者は、これに該当することが多いと考えられる。

 

ア 相談役又は顧問の名称を有する者

 

イ 発行済株式の総数の100分の5以上の株式を所有する株主

 

ウ 出資の総額の100分の5以上の額に相当する出資をしている者

 

エ 自己の近親者(事実上の婚姻関係にある者を含む。)を傀儡として当該法人かいらいの役員に就任させている者

 

(5) 申請者が認定申請書及び認定証更新申請書(府令別記様式第1号。以下「認定等申請書」という。)に記載すべき「役員」は、業務を執行する社員、取締役、執行役及びこれらに準ずる者に限られるので、法第3条第10号該当の有無については、原則として、これらの役員について上記1から7までの例により判断すること。

 

一方、その他の役員(法人に対し認定等申請書に記載された役員と同等以上の支配力を有するものと認められる者)で、認定申請又は認定証更新申請の時点で判明しているものについては、同様の方法により法第3条第10号該当の有無を判断すること。

 

なお、認定又は認定証更新の後、その他の役員の存在を新たに把握した場合には、警備業者に対して法第46条の規定により当該役員に係る資料の提出を求めること等により、その法第3条第10号該当の有無を調査すること。

 

11 第11号関係

 

(1)法第3条第11号の認定に当たっては、申請者の事業活動と同条第4号に該当する者(以下「暴力団員等」という。)との関わり方を個別具体的に検証することとなるが、本号の「支配的な影響力」を有する者の範囲は、一般に、同条第10号の「同等以上の支配力」を有する者よりも広いと解され、また、法人のみに適用される同号と異なり、本号は、個人事業者にも適用される欠格事由である。

 

また、法第3条第10号は、同条第1号から第7号までのいずれかの欠格事由該当者が支配力を有する場合に適用される欠格事由であるが、法第3条第11号は、暴力団員等が支配的な影響力を有する場合に限って適用される欠格事由であることに留意すること。

 

なお、法第3条第11号の欠格事由は、暴力団員等から脅迫その他の不当な行為を受けて事業活動に支配的な影響力を受けることとなった被害者を含む趣旨ではない。

 

(2) 法第3条第11号には、典型的には、暴力団員等が自己又は他人の名義で多額の出資や融資をしたり、多額の取引関係を持っている相手方が、これを背景として当該暴力団員等から事業活動に支配的な影響力を受けている場合が該当する。

 

また、法第3条第11号中「その他の関係」には、親族関係、人的派遣関係、株式所有関係等、種々の関係が含まれ、例えば、次のような場合が考えられる。

 

ア 暴力団員等の親族(事実上の婚姻関係にある者を含む。)又は暴力団若しくは暴力団員等と密接な関係を有する者が、事業者個人又は法人である事業者の役員であることのほか、多数の株式の所有等により、暴力団員等が事業活動に支配的な影響力を有している場合

 

イ 暴力団員等が、名目のいかんを問わず、多額の金品その他財産上の利益の供与を受けていたり、売買、請負、委任その他の多額の有償契約を結んでいるという事実から、その者の事業活動に支配的な影響力を有していると認められる場合

 

(3) 法第3条第11号該当の有無の判断に当たっては、申請者データを添えて暴力団対策主管課長に照会を行った上、当該照会結果を踏まえて必要があれば、暴力団対策部門と連携して実態把握を行うこと。

 

なお、上記については、刑事局組織犯罪対策部と協議済みである。

 

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