警備業法等の解釈運用基準 第17 書面の交付(法第19条関係)

警備業法等の解釈運用基準 第17 書面の交付(法第19条関係)

1 総説

(1) 法第19条第1項の規定により警備業務の依頼者に対して交付する契約の概要について記載した書面(以下「契約前書面」という。)及び同条第2項の規定により警備業務の依頼者に対して交付する契約の内容を明らかにする書面(以下「契約後書面」という。)は、それぞれ一の書面であることを要せず、契約書、警備計画書、パンフレット等複数の書面によることは差し支えない。

 

(2) 契約前書面に記載すべき事項は、締結しようとする契約に含まれるものである。したがって、府令第33条の規定により契約前書面に記載しなければならないこととされる事項のうち締結しようとする契約に含まれないものについては、当該事項について締結しようとする契約に含まれていない旨を記載すれば足りる。

 

契約後書面に記載すべき事項は、締結した契約に含まれるものである。したがって、法第19条第2項及び府令第34条の規定により契約後書面に記載しなければならないこととされる事項のうち締結した契約に含まれないものについては、当該事項について締結した契約に含まれていない旨を記載すれば足りる。

 

(3) 警備業務の依頼者と警備業務を行う契約を締結した者が他の警備業者に当該警備業務の全部又は一部を再委託する契約を締結する場合には、当該他の警備業者は当該警備業務を行う契約を締結した者に対して契約前書面及び契約後書面を交付する必要がある。

 

(4) 契約後書面が契約前書面と同一の内容である場合にも、警備業者は、法第19条第2項の規定により契約後書面を警備業務の依頼者に交付しなければならない。

 

ただし、この場合において、契約前書面を複写したものを契約後書面として交付することは差し支えない。

 

2 府令の定め

 

(1) 「警備業務を行う日及び時間帯」(府令第33条第1号ロ)、「警備業務を行うこととする場所」(同条第2号イ)、「警備業務を行う路程」(同条第3号ロ)、「待機所から警備業務対象施設までの路程」(同条第5号ハ)等について、契約前書面にあっては締結しようとする契約の内容に応じ、契約後書面にあっては締結した契約の内容に応じ、「警備業務を実施するときまでに決める。」、「天候、交通事情等によって変更があり得る。」等を記載し、又は選択し得る複数の「日及び時間帯」、「場所」、「路程」等を記載して差し支えない。

 

(2) 府令第33条第1号ニ中「担当業務」とは、例えば、法第2条第1項第1号に規定する警備業務(機械警備業務を除く。)にあっては、防犯監視、出入監視、巡回監視等をいい、法第2条第1項第1号に規定する警備業務(機械警備業務)にあっては、防犯監視等をいい、法第2条第1項第2号に規定する警備業務にあっては、車両・歩行者の誘導、雑踏の整理等をいい、法第2条第1項第4号に規定する警備業務にあっては、自動車同乗、徒歩、建物内等の場所に応じた警備態様等をいう。

 

(3) 府令第33条第1号ホ中「知識及び技能」とは、例えば、合格証明書の交付を受けていること、語学検定に合格していること、武道の段級位を有していること等をいう。

 

(4) 府令第33条第1号ヘ中「服装」とは、制服、私服の別をいう。

 

(5) 府令第33条第1号ト中「機器又は各種資機材」とは、例えば、法第2条第1項第1号に規定する警備業務(機械警備業務を除く。)にあっては、連絡用の無線装置、危険物発見用の金属探知機、エックス線透視装置等警備業務を実施するに当たって使用する機器又は各種資機材の種類をいい、法第2条第1項第1号に規定する警備業務(機械警備業務)にあっては、連絡用の無線装置、警備業務用車両等警備業務を実施するに当たって使用する機器又は各種資機材の種類のほか、事故の発生に関する情報を感知する機器の設置場所、種類その他警備業務用機械装置の概要、送信機器の維持管理の方法をいい、法第2条第1項第2号に規
定する警備業務にあっては、連絡用の無線装置、警備業務用車両、交通誘導用器材、携帯用拡声器等警備業務を実施するに当たって使用する機器又は各種資機材の種類をいい、法第2条第1項第3号に規定する警備業務にあっては、連絡用の無線装置、警備業務用車両(無線装置、防犯ブザー等の装置の搭載もあればその旨も含む。)等警備業務を実施するに当たって使用する機器又は各種資機材の種類をいい、法第2条第1項第4号に規定する警備業務にあっては、連絡用の無線装置、警備業務用車両等警備業務を実施するに当たって使用する機器又は各種資機材の種類をいう。

 

なお、機器又は各種資機材の種類については、具体的な型式や性能まで記載する必要はない。

 

(6) 府令第33条第1号チ中「鍵の管理に関する事項」とは、鍵の管理方法、貸出し方法等をいう。

 

(7)府令第33条第1号ヌ中「警備業務の依頼者への報告に関する事項」とは、警備報告書の作成及び提出に関する事項等をいう。

 

(8)府令第33条第1号カ中「警備業務の再委託に関する事項」とは、再委託の可否、再委託する警備業務の範囲並びに実際の警備業務を実施する警備業者の氏名又は名称、住所及び電話番号並びに法人にあっては代表者の氏名等をいう。

 

(9)府令第33条条第1号ネ中「警備業務に係る苦情を受け付けるための窓口」とは、苦情の受付を担当する部署名、住所、電話番号等をいう。

 

(10) 府令第33条第1号ナ中「特約があるときは、その内容」とは、例えば、警備業務対象施設の図面、警備対象物の内容及び運行経路、警備対象人物の行動予定等の秘密の保持に関する事項があれば、その内容を記載する。

 

(11) 府令第33条第3号ロ及び同条第5号ハ中「路程」とは、経路及び経路上の距離をいい、(1)のとおり、契約前書面にあっては締結しようとする契約の内容に応じて、契約後書面にあっては締結した契約の内容に応じて記載すれば足りるものであって、想定し得る全ての路程を記載する必要はなく、地図によって示すことも可能であり、また、交通事情等を勘案して警備業者において適宜必要と認める路程等の記載でも差し支えない。

 

(12) 府令第33条第5号ハ中「当該路程を記載することが困難な事情」とは、路程が複雑であるため警備業務の依頼者が容易に理解できるように記載しがたい場合等をいう。

 

また、同ハ中「通常要する時間」については、通常見込まれる時間が記載されていれば足り、幅のない所要時間は必ずしも要さず、例えば、「おおむね20分程度」、「25分以内の予定」等の記載で差し支えない。

 

(13) 府令第33条第5号ニ中「送信機器の維持管理の方法」とは、定期点検の時期、内容等をいう。

 

(14) 府令第35条中「警備業務の依頼者が確実に当該書面の記載内容を了知する方法」とは、「警備業務の依頼者に当該書面を十分に読むべき旨を告げて交付する方法」のほか、警備業者が警備業務の依頼者に対し当該書面を読み聞かせる方法、警備業者の依頼者が当該書面を十分に読んだ場合にはその旨の記述及び署名を求める方法等をいう。

 

(15) 府令第36条第1項第1号イに掲げる方法は、電子メールを利用する方法等をいう。

 

(16) 府令第36条第1項第1号ロに掲げる方法は、警備業者がホームページにおいて警備業務の依頼者の閲覧に供し、警備業務の依頼者がダウンロードする方法(括弧書中の方法にあっては、警備業務の依頼者が警備業者のホームページ中の掲示板に記録する方法等)等をいう。

 

(17) 府令第37条第2号中「ファイルへの記録の方式」とは、使用ソフトウェアの形式及びバージョン等をいう。

 

関連リンク

 

警備業法第19条(書面の交付)

 

警備業法施行規則第33条(書面の交付)

 

警備業法施行規則第34条

 

警備業法施行規則第35条

 

警備業法施行規則第36条(情報通信の技術を利用する方法)

 

警備業法施行規則第37条









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