警備業法第19条(書面の交付)
警備業者は、警備業務の依頼者と警備業務を行う契約を締結しようとするときは、当該契約を締結するまでに、内閣府令で定めるところにより、当該契約の概要について記載した書面をその者に交付しなければならない。
2 警備業者は、警備業務を行う契約を締結したときは、遅滞なく、内閣府令で定めるところにより、次に掲げる事項について当該契約の内容を明らかにする書面を当該警備業務の依頼者に交付しなければならない。
一 警備業務の内容として内閣府令で定める事項
二 警備業務の対価その他の当該警備業務の依頼者が支払わなければならない金銭の額
三 前号の金銭の支払の時期及び方法
四 警備業務を行う期間
五 契約の解除に関する事項
六 前各号に掲げるもののほか、内閣府令で定める事項
3 警備業者は、前二項の規定による書面の交付に代えて、政令で定めるところにより、当該警備業務の依頼者の承諾を得て、当該書面に記載すべき事項を電子情報処理組織を使用する方法その他の情報通信の技術を利用する方法であつて内閣府令で定めるものにより提供することができる。この場合において、当該警備業者は、当該書面を交付したものとみなす
解説
この警備業法第19条では、簡単に言うこと契約する前と後に、契約書とは別に業務の内容、契約の内容が記載された書面を警備会社側から交付しなさいと定めています。警備業界でいう前後書面というやつです。
前後書面に記載しなければならない事項は以下の通りです。(1号業務の場合)
- 警備会社名、代表者名、住所、電話番号
- 警備業務を行う日及び時間帯
- 警備業務対象施設の名称及び所在地
- 警備業務に従事させる警備員の人数及び担当業務
- 警備業務に従事させる警備員が有する知識及び技能
- 警備員の服装
- 警備業務を実施するために使用する機器又は各種資機材
- 警備業務対象施設の鍵の管理に関する事項
- 警備業務対象施設における盗難等の事故発生時の措置
- 報告の方法、頻度及び時期その他の警備業務の依頼者への報告に関する事項
- 警備業務の対価その他の当該警備業務の依頼者が支払わなければならない金銭の額
- 上欄の金銭の支払の時期及び方法
- 警備業務を行う期間
- 警備業務の再委託に関する事項
- 免責に関する事項
- 損害賠償の範囲、損害賠償額その他の損害賠償に関する事項
- 契約の変更及び更新に関する事項
- 契約の解除に関する事項
- 警備業務に係る苦情を受け付けるための窓口
- これらのほか特約があるときは、その内容
- 契約の締結年月日(契約後書面のみ)
その他各業務ごとに記載すべき事項に関しましては、こちらのページに記載してあります。
また書面の交付に関しては決して紙で渡す必要はなく、メールやFAX等を使ってやり取りしても問題ありません。
警察の立ち入りの際には必ず調べられますので、交付した書類の控えは必ず保管しておきましょう。
この条文が出来た経緯
この条文が出来る以前に、警備の契約する前の話と実態が全然違うという苦情が消費生活センターに殺到した時代があったようです。
特に機械警備でこういったトラブルが多発したため、このような条文が付け加えられたようです。
罰則
第19条書面交付義務違反は、100万円以下の罰金(警備業法第57条)となっています。
ただ私自身の経験なのですが、立ち入りでこの書面交付がなされていない契約があっても特にペナルティは受けませんでした。
よっぽど悪質なことをしない限りは、営業停止等になる可能性は低そうです。
関連リンク
警備業法等の解釈運用基準 第17 書面の交付(法第19条関係)