警備業法等の解釈運用基準 第7 認定の取消し(法第8条関係)
1 認定の取消しを行うべき公安委員会
認定の取消しを行うべき公安委員会については、法第8条第1号に基づく取消しのほか、警備業の要件(法第3条第7号を除く。)を満たしていない者が不正の手段によらず認定又は認定証の有効期間の更新を受けた場合における法第8条第2号に基づく取消しも、行政行為の成立そのものに瑕疵がある場合の取消しであるから、認定証を交付した公安委員会(認定証の有効期間の更新がされた場合には、当該更新をした公安委員会)が行うものとする。
一方、法第8条第2号に基づく取消しのうち、講学上の「撤回」(瑕疵なく成立した行政行為の新たな事情の発生に基づく取消し)に当たるもの並びに同条8条第3号及び第4号に基づく取消しについては、当該警備業者が取消しの要件を満たしている場合に、その認定を存続させることが公益に適合するか否かを最も適切に判断できると認められる公安委員会が行うべきであるから、管轄区域を異にして主たる営業所が変更されている場合には、「現に主たる営業所の所在地を管轄する公安委員会」が行うものとする。
2 関係公安委員会の協力
複数都道府県の区域内で警備業務を行うこととしている警備業者について、法第8条第3号又は第4号に基づく認定の取消しを行おうとする公安委員会は、他の公安委員会の管轄区域内における警備業務に係る営業についても実態を把握して、取消しの可否及び要否を総合的に判断する必要があるので、関係する公安委員会は、相互に必要な協力を行うこと。
3 認定の取消し事由
(1) 法第8条第3号の「正当な事由」がある場合とは、営業の意思があり、かつ、営業を行う能力が将来にわたって認められるにもかかわらず、自然災害の発生、病気等認定を受ける時点では予測し得なかった事態が発生したこと等により、営業を開始できず、又は営業を休止せざるを得ない状況になっている場合をいう。
「正当な事由」とは、そのような合理的な理由に限られるので、単に経営不振、資金繰りの見込み違い等により営業の開始又は再開が見込めないような場合は、「正当な事由」があるとは言えないことに留意すること。
(2) 法第8条第3号中「現に営業を営んでいないこと」の認定に当たっては、当該警備業者が警備業務を行っていないこと及び警備業務契約を締結していないことに加えて、次のような行為を行っていないことを確認するものとする。
○ 警備業務契約の締結を目的として、入札に参加したり、広告宣伝活動を行う
こと
○ 警備業務契約を締結した場合に備えて、警備員教育等を実施すること
なお、営業を営んでいることが客観的資料から裏付けられない者が営業を営んでいる旨主張する場合には、法第46条の規定により営業活動の現況及び計画の報告を求めるなどして、虚偽の申立てでないことを確認するものとする。
(3) ある区分の警備業務を行う旨の届出が行われている場合において、届出をしてから6月以内に営業を開始せず、又は6月以上営業を休止し、現に当該区分の営業を営んでいないと認められるときであっても、他の区分の警備業務が行われている場合には、認定の取消事由に該当しないことから、法第11条第1項及び第4項の規定に基づく変更の届出を求め、これが行われないときは、指示又は営業の停止命令を行うものとする。
(4) 法第8条第4号の「所在不明であること」とは、法第4条の認定自体が「警備業を営もうとする者」の申請により付与される行政庁の確認行為であることから、「警備業を営もうとする者」でなくなったと評価し得る実態が必要であると解される。
そのため、個人業者が「所在不明」である場合とは、当該個人が、住民票に記載された住所地に居住しない事実に加えて、当該個人の親族、当該住所地の周囲に居住する人物等に対してその所在に関して聴取するなどの必要な調査を行った結果、当該個人の所在について確認できない場合を指すと解される。
一方、法人業者が「所在不明」である場合とは、当該法人について、登記簿上法人格が存在するにもかかわらず、代表者その他の役員、株主等の所在が不明(上記個人業者の場合に準ずる。)であって、法人の機関が機能し得ないことのほか、本店及び支店の実態、収支、財産、使用人等が存在しないこと等を総合的に勘案し、当該法人の事業活動(警備業以外の事業活動を含む。)が存在し得ないと判断される場合を指すと解される。
4 認定の取消しの手続
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