警備業法等の解釈運用基準 第13 警備業務実施の基本原則(法第15条関係)
1 法第15条前段の意義
法第15条中「この法律により特別に権限を与えられているものでないことに留意する」とあるのは、警備業務が他人の身体、財産等の保護を行うものであることから一見警察業務と類似性を有するが、警備業務は営利を目的として特定人の依頼に基づいて特定人のためにのみ行うもので、公共の安全と秩序の維持に当たる警察業務とは本質を異にするものであり、その業務実施に当たっては、飽くまでも、私人のいわゆる管理権等の範囲内で行われるべきものであることを注意的に規定したものである。
したがって、法の運用に当たっては、この趣旨を踏まえ、警備業者及び警備員が警備業務を行うに当たって特別の権限を有するものでないことに留意すること。
2 法第15条後段の意義
法第15条中「他人の権利及び自由を侵害し、又は個人若しくは団体の正当な活動に干渉してはならない」とあるのは、刑罰法令等に抵触する行為はもとより、他人の権利及び自由を侵害する行為のほか、必ずしも明白な権利侵害に当たらない場合であっても個人又は団体の正当な活動に不当な影響を及ぼす行為については、これを禁止する趣旨である。
正当な活動への干渉に当たる場合の一般的基準は、相手の行為が合法的な活動であって、これに対し警備員等が威圧的言動その他の積極的行為を行い、その行為が周囲の諸状況から判断して相当性を欠くと認められるものである場合である。
相手の行為が違法なものである場合には干渉行為があっても正当な活動への干渉が行われたことにはならないが、その行為が限度を超え過剰防衛等に該当するに至った場合には他人の権利自由の侵害に当たることに留意すること。
法第15条違反となる具体例を示すと、次のようなものである。
○ 労働組合の適法な集会、デモ行進等の周辺で、大勢で長時間ば声を浴びせ、つばを吐きかけるなどの嫌がらせをすること
○ デパートで買物中の客に対し、疑うべき具体的な理由がないのにもかかわらず、携帯品の提出を求め、窃取したものでないことの証明を求めること
○ 依頼者の店頭に違法駐車をした者に対し、長時間の説教をし、又は始末書の提出を求めること
○ 窃盗犯人を現行犯逮捕して、長時間にわたり、所持品、身元等について調べること
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