警備業法等の解釈運用基準 第34 営業の停止等(法第49条関係)

警備業法等の解釈運用基準 第34 営業の停止等(法第49条関係)

1 営業停止命令

 

(1) 総説

 

公安委員会は、その管轄区域内はもとより、管轄区域外で警備業者又はその警備員が違反行為をした場合でも、自らの管轄区域内における警備業務の適正な実施が著しく害されるおそれがあると認められるときは、営業停止命令をすることができるが、営業停止命令の権限とその効果は、「当該公安委員会の管轄区域内における警備業務に係る営業」の停止に限定されている。

 

このため、例えば、A県の営業所からB県内に警備員が出向いてきて警備業務を行っている場合に当該営業所について違反行為が行われたとしても、A公安委員会はA県内における警備業務に係る営業の停止しか命ずることができず、B公安委員会はB県内における警備業務に係る営業の停止しか命ずることができないので、当該営業所に係る営業の全てを停止するには、両方の公安委員会がそれぞれ営業停止命令をしなければならない(このように、営業停止命令は、指示(法第48条)と異なり、同一又は重複する内容の処分を複数の公安委員会が行い得るものではない。)。

 

(2) 営業停止命令の要件

 

法第49条第1項中「警備業務の適正な実施が著しく害されるおそれがあると認められるとき」とは、当該警備業者が引き続き警備業務を行う場合には、警備業務の実施に伴って違法又は不当な事態が発生する蓋然性が極めて高いと認められるとき、あるいは、著しく不適切な警備業務が継続的に行われることが予想されるようなときをいう。例えば、法第15条違反が、警備業者の経営方針に従って行われた場合、法第21条の違反があまりにも著しく、営業を継続したまま改善することが困難である場合等である。

 

(3) 営業停止命令の内容

 

法第49条第1項中「一部の停止」とは、当該公安委員会の管轄区域内に2以上の営業所を有し、それぞれの分担区域を設けているような場合においてその一方の営業所に係る営業についてのみ停止を命じたり、特定の種類の警備業務に係る営業についてのみ停止を命じたりするような場合をいう。

 

(4) 営業停止命令の手続

 

法第49条第1項の規定による警備業務に係る営業の全部又は一部の停止の命令は、別記様式第6号の営業停止命令書により行うものとする。

 

2 営業の廃止の命令

 

(1) 命令を行う公安委員会

 

法第49条第2項各号に該当する者があることを認知した公安委員会であれば、営業の廃止の命令をすることができる。したがって、その者が警備業を営んでいる都道府県の区域を管轄する公安委員会が命令をすることが通常であるが、これに限られるものではなく、例えば、同項第1号に該当する者に対して、当該通知をした公安委員会が、同項第2号に該当する者に対して、認定の取消しをした公安委員会が、それぞれ必要に応じて命令をすることも可能である。

 

(2) 命令の効力

 

営業の廃止の命令をした公安委員会は、他の全ての公安委員会を代表して権限を行使したものと解することができ、その効力は、全国に及ぶ。したがって、営業の廃止の命令を受けた者が、命令をした公安委員会の管轄区域外で警備業を営んだ場合にも、命令違反に当たる。

 

(3) 留意事項

 

営業の廃止の命令は、認定を受けていない者について適用される処分であることに留意すること。

 

(4) 営業の廃止の命令の手続

 

法第49条第2項の規定による営業の廃止の命令は、別記様式第7号の営業廃止命令書により行うものとする。

 

関連リンク

 

警備業法第49条(営業の停止等)









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