警備業法等の解釈運用基準 第2 定義(法第2条関係)

警備業法等の解釈運用基準 第2 定義(法第2条関係)

1 「警備業務」の定義

 

(1) 法第2条第1項中「他人の需要に応じて行う」とは、他人との契約に基づき、他人のために行うことをいい、「他人」とは、当該業務を行う者以外の個人、法人等をいう。当該業務が「他人の需要に応じて行う」ものでない他の業務に包摂される場合には、警備業務に該当しないこととなるが、当該業務が警備業務以外の業務に付随して行われるからといって、直ちに「他人の需要に応じて行う」ものでないとは言えないことに留意すること。

 

なお、次のような業務は、警備業務に該当しない。

 

○ 運送業者が通常の運送業務の内容として必要とされる範囲内で自己の従業員を自己の車両に乗車させるなどして、運送品の積卸し等に伴って盗難等の事故の防止を行う程度の業務

 

○ 倉庫業者が通常の倉庫業の業務の内容として必要とされる範囲で自己の従業員を倉庫等に配置して受託品の盗難等の事故の防止を行う程度の業務

 

○ 建設業者が通常の建設業の業務の内容として必要とされる範囲で自己の従業員を配置して建設工事に伴う事故の防止を行う程度の業務

 

○ 労働安全衛生法(昭和47年法律第57号)の規定により事業者がその従業員を使用して行う労働災害防止の業務

 

○ デパート等においてその従業員が通常必要とされる範囲で行う保安業務

 

○ 飛行場において行う航空機の誘導業務

 

○ 貸ビル業者が通常必要とされる範囲で自己の所有建物においてその建物自体の保全管理を行う業務(賃借人との契約に基づいて事故の発生を警戒し、防止する業務は、警備業務に該当する。)

 

(2) 法第2条第1項第1号中「事務所、住宅……遊園地等」は、施設の例示であり、工場、学校等のほか海水浴場、湖等に設けられた施設等は警備業務対象施設に該当する。

 

法第2条第1項第1号に規定する、警備業務対象施設における「盗難等の事故の発生を警戒し、防止する業務」とは、単に盗難の発生を警戒し、防止するのみならず、人の生命若しくは身体に危険を及ぼし、又は財産に損害を及ぼすおそれのある市民生活の安全と平穏に関する犯罪、事故その他の危険な事態の発生を警戒し、防止する業務と解され、これらの事故の代表的なものである盗難を例示し
て、この種の業務の態様を捉えているものである。

 

したがって、「盗難等の事故」には、当該施設における活動の正常な運行を妨げ、又は施設の正常な状態を損なうような、市民生活の安全と平穏に関する緊急の対処の必要な事象全般を含むと解される。

 

(3) 法第2条第1項第3号中「現金、貴金属、美術品等」には、有価証券等の貴重品や核燃料物質等の危険物、危険な動物等が含まれる。

 

(4) 法第2条第1項第4号に規定する「人の身体に対する危害の発生を、その身辺において警戒し、防止する業務」とは、人の生命又は身体に危険を及ぼすおそれのある人の身体の安全と平穏に関する犯罪、事故その他の危険な事態の発生を、その身辺において警戒し、防止する業務と解され、「人の身体に対する危害」には、人の身体の安全と平穏に関する緊急の対処が必要な事象全般を含むと解され
る。

 

(5) 法第2条第1項各号中「警戒し、防止する」とは、事故又は危害の発生につながる情報を把握する目的を持った活動を行い、事故又は危害の発生につながる情報を把握した場合には、その発生を防止するために必要な措置を行い、事故又は危害が発生した場合には、その被害の拡大を防止するために必要な措置を執ることを含むものと解される。例えば、警備業務対象施設内において、異常な挙動その他の周囲の事情から合理的に判断して、適当な保護者を伴わず、応急の救護を要すると信ずるに足る相当な理由のある者を発見して警察に通報したり、出血して倒れている負傷者を救出したりする行為は「警戒し、防止する」業務に含まれる。

 

(6) いわゆる緊急通報サービスを行う民間事業者が、緊急通報サービスに係る業務委託契約書等において、その事業の目的に応じて、「警戒し、防止する」対象を病気、けが等による緊急事態に限定していたとしても、当該「病気、けが等による緊急事態」に、「盗難等の事故」及び「危害」によるものが含まれる可能性があるので、当該業務委託契約書等の内容、当事者の意思及び業務の実態に照らし、これらの発生の警戒、防止等法第2条第1項第1号又は第4号に規定する業務に該当する業務を含む場合があることに留意すること。

 

列車、航空機その他の交通機関に乗務し、乗客等による粗暴行為等の事故の発生を警戒し、防止する業務は、法第2条第1号及び第4号の業務に該当する。

 

なお、水先人の業務は、警備業務ではない。

 

2 「警備業」の定義

 

法第2条第2項中「営業」とは、営利の目的で同種の行為を反復継続して行うことをいう。当該業務実施者が公益法人(公益社団法人及び公益財団法人の認定等に関する法律(平成18年法律第49号)第2条第3号に規定する公益法人をいう。以下同じ。)である場合であっても、営利の目的がある場合があることに留意すること。

 

3 「警備員」の定義

 

法第2条第4項に規定する「警備員」とは、「警備業者の使用人その他の従業者で警備業務に従事するもの」をいい、ここでいう「従業者」とは、警備業者との雇用契約に基づいて警備業務に従事する者のほか、雇用契約以外の契約に基づき、警備業務に従事する者を意味する。この場合において、警備業務に従事しているか否かについては、警備業者からの指揮監督の下に、当該業務に関する労務を提供した事実の有無、労務に対する給料、報酬その他の対価の受領の有無等の事情を総合的に判断して、当該業務への関与の度合いを評価して判断するべきである。

 

4 「機械警備業務」の定義

 

法第2条第5項に規定する「機械警備業務」とは、「警備業務用機械装置」を使用して行う法第2条第1項第1号の警備業務をいう。また、「警備業務用機械装置」とは、各種センサー、非常通報装置等を用いた機器の全体をいうが、受信機器が当該警備業務対象施設以外の施設に設置されている場合に限っているため、同一建造物の内部で完結しているような装置は警備業務用機械装置ではないことに留意すること。

 

いわゆる緊急通報サービスが警備業務に該当する場合において、対象者の所持する緊急通報装置により感知した事故等の発生に関する情報を、当該高齢者宅等に設置する機器を通じて、当該警備業務対象施設以外の施設に設置する機器に送信し、及び受信するための装置を使用して当該業務を行うときは、警備業務用機械装置を使用して、法第2条第1項第1号の警備業務を行うと解されることから、当該緊急通報サービスは、法第2条第5項に規定する機械警備業務に該当することとなる。

 

一方、対象者の所持する携帯型発信器により感知した危害等の発生に関する情報を、当該装置から直接、当該警備業務対象施設以外の施設に設置する機器に送信し、及び受信するための装置を使用して当該業務を行うときは、当該緊急通報サービスは、法第2条第1項第4号の警備業務に該当し、機械警備業務に該当しない。

 

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警備業法第2条(定義)









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