現場保存の意義と留意点
警備員は、仕事の特性上犯罪等の事件や、交通事故等の現場に遭遇したり、通報を受けたりする機会が一般人より多くなります。
この際110番通報するとともに、現場を可能な限りそのままの状態で保存して警察官に引き継ぐ必要があります。
現場には犯罪の操作や事故の原因調査に必要な情報や証拠が多く残されており、より多くの、正確な情報を保存できるかが、原因解明に直接与えることになります。
勤務中にこういった状況に遭遇した際に適切に現場保存に勤められるようこれらのことを深く認識しておかなければなりません。
現場保存の範囲
現場保存の範囲は、犯罪、事故の発生した地点だけではなく、現場の状況に応じて、関係者の行動範囲と考えられるすべてが対象となります。したがって警備員は、現場保存に当たる場合には、犯罪、事故の発生現場を中心として可能な限り広い範囲を保存する必要があります。
その状況によって保存範囲は変わりますが、一般的には次のような場所が保存対象になるでしょう。
- 犯罪が行われた部屋
- 現場に通じる屋内の通路
- 侵入、逃走の経路
現場保存方法
まずは現場保存の範囲内からすべての人を立ち退かせるようにしましょう。
現場保存をする際は、保存する範囲を明確にするため、ロープ等で立ち入り制限区域を明確にしましょう。
施設内の通路など、通行止めにできないような場所については、その場に警備員を配置し、案内等でできるだけ通行を制限するようにしましょう。
屋外における現場保存の場合は、足跡、血痕など、雨で流失の可能性があるようなものに関しては、バケツ等でおおって確保しましょう。
現場保存時の留意点
- 現場にあるものすべてに手を触れてはいけません。
- 現場にあるものをむやみに動かしてはいけません。
- やむを得ず物を動かす場合は、置いてあった場所を必ず記録しましょう。
- 現場内を動き回ってはいけません。
- 所有者、管理者であっても、警察官が来るまでは現場内に入ることは控えてもらいましょう。
- 現場保存前後に、どの人がどのように行動したのか可能な限り、記録、記憶しておきましょう。
- 目撃者や発見者がいる場合は可能な限りその場に残ってもらうようにしましょう。
- 残ってもらうことが難しい場合は、氏名、連絡先等を記録するようにしましょう。
警察官への引継ぎ
警察官が到着したら、それまでの状況を警察官に報告し、引き継ぐ必要があります。
報告内容は以下の通りです。
- 発見の時間と、内容
- 連絡、通報時間とその内容
- 第三者の連絡によって事件を知った場合は、発見者の氏名と連絡先等
- 現場保存範囲とその方法
- 現場保存を行った時間
- 現場保存前に現場に居合わせた人の氏名等
- 現場保存後に現場に居合わせた人の氏名等
- 現場内でやむを得ず物を動かした場合は、動かしたものの場所と理由
- 関係者の氏名、連絡先等
- 警備員の氏名、警備会社名