落とし物(遺失物)の正しい取り扱い要領|トラブルを防ぐ確認のコツ

教育・実技

警備員の日常業務の中で、避けて通れないのが「遺失物(落とし物)」の対応です。 落とし物の取り扱いは、一見シンプルですが、実は「遺失物法」という法律に基づいた厳格なルールがあります。

適切な対応を怠ると、善意で拾ったはずがトラブルに巻き込まれたり、警備会社としての信用を失ったりする恐れがあります。現役の管理者の視点から、現場で役立つ具体的な取り扱い要領を解説します。

1. 遺失物取り扱いの基本ルール(提出期限)

落とし物には、法律で定められた「届け出の期限」があります。これに遅れると、報労金(お礼)を受け取る権利や、持ち主が現れなかった場合にその物件をもらう権利を失ってしまいます。

  • 路上などの「屋外」で拾った場合: 1週間以内に警察署または交番へ。
  • 駅や店舗などの「施設内」で拾った場合:24時間以内に施設管理者(警備室など)へ。
    • ※届け出を受けた施設側は、1週間以内に警察へ届ける必要があります。

2. 報労金(お礼)の権利について

落とし主が見つかった際、拾い主は落とし主に対して、物件の価格の**5%〜20%の範囲で報労金を請求する権利があります。 施設内で拾った場合は、この権利を「拾った人」と「施設占有者(オーナー)」で半分ずつ(折半)**することになります。

3. 【施設警備員】具体的な取り扱い手順

施設警備員は、最も落とし物に接する機会が多いポジションです。

警備員自身が拾った場合

巡回中に発見した際は、まず「いつ・どこで・どのような状態」で落ちていたかを正確に記録します。

  • 貴重品の確認は必ず2名以上で: 財布などの貴重品の中身を確認する際は、後々の「入っていた・いない」のトラブルを防ぐため、必ず複数の警備員、または施設担当者の立ち会いのもとで行ってください。
  • 保管の徹底: 施設ごとに定められた保管場所(防災センターや事務局など)へ速やかに引き継ぎ、管理簿に記載します。

一般の方から届け出を受けた場合(重要)

ここが最も慎重な対応を求められる場面です。

  1. 詳細の聞き取り: 拾った場所、時間、物の特徴を詳しく確認します。
  2. 権利の確認: 届け出た方に「報労金(お礼)を請求する権利」と「持ち主が現れなかった場合に所有権を得る権利」を希望するかどうかを確認します。
  3. 連絡先の受理: 権利を希望される場合は、氏名・連絡先を伺います。拒否される場合は、その時点で権利を放棄したとみなされる旨を丁寧に説明してください。
  4. 中身の精査: 届け出た方の目の前で、中身(金額、カードの種類、枚数など)を細かく確認し、相互に齟齬がないようにします。

4. 施設警備員以外の警備員(交通誘導など)の注意点

交通誘導やイベント警備の際、一般の方から「これ落ちてました」と渡されることがあります。 原則として、施設警備以外の警備員は、一般の方からの預かりは断るのが実務上の正解です。

  • 公道の場合: 近くの警察署や交番へ直接届けていただくよう案内します。
  • 施設の近辺の場合: 施設の受付や防災センターへ案内します。
  • イベント会場の場合: 本部や指定の遺失物センターへ案内します。

不用意に預かってしまうと、勤務中である警備員が警察まで届ける手間が発生するだけでなく、報労金の権利関係でトラブル(警備員がネコババしたと疑われる等)になるリスクがあるためです。

まとめ:曖昧さを排除し、ルールを徹底する

落とし物の取り扱いは非常にシビアです。現場に「遺失物管理簿」が備わっていない場合は、会社に相談して書式を作成するなど、誰が対応しても同じ手順で管理できる環境を整えましょう。

また、巡回中に「ゴミか落とし物か判別しにくいもの」を見かけた際も、勝手に判断して捨てたりせず、一旦は落とし物として処理する慎重さがプロの警備員には求められます。

ルールに基づいた誠実な対応こそが、あなた自身と会社の信頼を守る唯一の方法です。

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