遺失物法
警備員は警備業務の性格上、遺失物等を取り扱う機会が多く、この取扱いが適正に行われなければ、トラブル発生の原因となるばかりか信用を失うこ ととなります。
したがって、警備員は、遺失物法に定められた処理手続きを十分理解して、適切な対応に努める必要があります。
このページでは遺失物法について紹介するとともに、警備員として落とし物をどう取り扱うのが正しいのか、ご紹介していきます。
第2条(定義)
この法律において「物件」とは、遺失物及び埋蔵物並びに準遺失物(誤って占有した他人の物、他人の置き去った物及び逸走した家畜をいう。次条において同じ。)をいう。
2 この法律において「拾得」とは、物件の占有を始めること(埋蔵物及び他人の置き去った物にあっては、これを発見すること)をいう。
3 この法律において「拾得者」とは、物件の拾得をした者をいう。
4 この法律において「遺失者」とは、物件の占有をしていた者(他に 所有者その他の当該物件の回復の請求権を有する者があるときは、その者を含む。)をいう。
5 この法律において「施設」とは、建築物その他の施設(車両、船舶、 航空機その他移動施設を含む。)であって、その管理に当たる者が常駐するものをいう。
6 この法律において「施設占有者」とは、施設の占有者をいう。
解説
- 落とし物とは・・・この法律では、純粋な落とし物はもちろん、埋蔵物、間違って人のものを持ってきてしまった場合、意図的に人が置き去ったもの、逃げた動物など広範囲なもの全てを「落とし物」として取り扱っています。
- 拾得とは・・・落とし物を拾うことを指しますが、埋蔵物や置き去ったものに関しては発見した段階で「拾った」扱いになります。
- 遺失者とは・・・落とし主のことです。
- 施設とは・・・建物、車、飛行機など幅広い意味でこの法律では使います。
- 施設占有者とは・・・そのままです。その施設のオーナー等を指します。
第4条(拾得者の義務)
拾得者は、速やかに、拾得をした物件を遺失者に返還し、又は 警察署長に提出しなければならない。
ただし、法令の規定によりその 所持が禁止されている物に該当する物件及び犯罪の犯人が占有していたと認められる物件は、速やかに、これを警察署長に提出しなければならない。
2 施設において物件(埋蔵物を除く。第3節において同じ。)の拾得をした拾得者(当該施設の施設占有者を除く。)は、前項の規定にかかわらず、速やかに、当該物件を当該施設の施設占有者に交付しなければならない。
3 前2項の規定は、動物の愛護及び管理に関する法律(昭和48年法律 第105号) 第35条第2項に規定する犬又はねこに該当する物件について 同項の規定による引取りの求めを行った拾得者については、適用しない。
解説
- 落とし物を拾ったら、落とし主がわかる場合は落とし主に、落とし主がわからない場合や、凶器や麻薬など所持を禁止されている者のような場合は直接警察署、交番に届けましょう。
- 施設で落とし物を拾った場合は、落とし主がわかる場合は同様ですが、わからない場合は施設のオーナーに届けましょう。(現実にはその施設の関係者に届けることになります。)
- かなり例外的な話なのですが、飼い主が自分の飼っている犬、猫を行政に引き取り依頼をしている場合はこの遺失物法は適用されません。
第13条(施設占有者の義務等)
第四条第二項の規定による交付を受けた施設占有者は、速やかに、当該交付を受けた物件を遺失者に返還し、又は警察署長に提出しなければならない。
ただし、法令の規定によりその所持が禁止されている物に該当する物件及び犯罪の犯人が占有していたと認められる物件は、速やかに、これを警察署長に提出しなければならない。
2 前節の規定は、警察署長が前項の規定による提出を受けた場合について準用する。
この場合において、第五条中「前条第一項」とあるのは「第十三条第一項」と、「拾得者」とあるのは「施設占有者」と、第十一条第二項中「拾得者の同意」とあるのは「拾得者又は施設占有者の同意」と、「拾得者の氏名」とあるのは「その同意をした拾得者又は施設占有者の氏名」と、同条第三項中「拾得者」とあるのは「拾得者又は施設占有者」と読み替えるものとする。
解説
- 落とし物の届け出を受けた施設占有者は、落とし主に返すか、警察署に届けなければなりません。ただし所持が禁止されているものに関しては警察署に届けなければいけません。
- わかりにくいですが、施設占有者が警察署に届ける場合と拾得者が警察署に届けるときの基本的な取り扱いは同じですよということが書いてあります。
具体的には、
- 施設占有者は、速やかに、拾得をした物件を遺失者に返還し、又は警察署長に提出しなければならない。ただし、法令の規定によりその所持が禁止されている物に該当する物件及び犯罪の犯人が占有していたと認められる物件は、速やかに、これを警察署長に提出しなければならない。
- 警察署長は、拾得者又は施設占有者の同意があるときに限り、遺失者の求めに応じ、その同意をした拾得者または施設占有者の氏名又は名称及び住所又は所在地(以下「氏名等」という。)を告知することができる。
- 警察署長は、前項の同意をした拾得者または施設占有者の求めに応じ、遺失者の氏名等を告知することができる。
ということを述べています。
第14条(書面の交付)
第四条第二項の規定による交付を受けた施設占有者は、拾得者の請求があったときは、次に掲げる事項を記載した書面を交付しなければならない。
一 物件の種類及び特徴
二 物件の交付を受けた日時
三 施設の名称及び所在地並びに施設占有者の氏名(法人にあっては、その名称及び代表者の氏名)
解説
落とし物を拾った者が施設占有者に届け出た際に、拾ったものの種類特徴、届け出た日時、施設占有者の氏名を書いた書類を求められた場合は渡さなけければいけません。
関連ページ
- 警備業法第2条(定義)
- 警備業法第3条(警備業の要件)
- 警備業法第4条(認定)
- 警備業法第14条(警備員の制限)
- 警備業法第15条(警備業務実施の基本原則)
- 警備業法第16条(服装)
- 警備業法第17条(護身用具)
- 警備業法第18条(特定の種別の警備業務の実施)
- 遺失物法(特例施設占有者)
- 遺失物法(その他)
- 憲法
- 刑法と罪刑法定主義
- 刑法第36条(正当防衛)
- 刑法第37条(緊急避難)
- 刑事訴訟法第199条(逮捕状による逮捕の要件)
- 刑事訴訟法第210条(緊急逮捕)
- 刑事訴訟法第212条(現行犯人)
- 刑事訴訟法第213条(現行犯逮捕)
- 刑事訴訟法第214条(私人による現行犯逮捕)
- 刑事訴訟法第217条(軽微事件と現行犯逮捕)
- 警察官職務執行法第2条(質問)
- 警察官職務執行法第4条 (避難等の措置)
- 消防法
- 道路交通法第1条
- 道路交通法第10条(通行区分)
- 道路交通法第12条(横断の方法)
- 道路交通法第13条(横断禁止の場所)
- 道路交通法第17条(通行区分)
- 道路交通法第38条(横断歩道における歩行者等の優先)
- 道路交通法第38条の2(横断歩道のない交差点における歩行者の優先)
- 道路交通法第40条(緊急自動車の優先)